Director’s Voice 04

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Director’s Voice 04



患者さんに触れずして評価は出来ないと感じています
比嘉 朋子 (株式会社薬正堂)
沖縄にて、自身の経験を生かしたバイタルサイン講習会を複数回開催。丁寧で分かりやすい講習会は受講者に非常に好評。より多くに人に広げようとディレクターとして活躍中です。

バイタルサイン講習会を受けられたきっかけは?

社内教育に組み込みたい
私は、社内で薬剤師教育を担当しております。フィジカルアセスメントを授業で学んだ6年制卒薬剤師が、社会に出てくる前に、「バイタルサイン研修」を社内教育に組み込みたいとリサーチしていました。すると、常にアンテナを張っておくものですね。日経DI 2010年5月号で、在宅療養支援薬局研究会が「バイタルサイン講習会」を行っているという記事をみつけ、受講してみる事にしました。

バイタルサイン講習会を受けてみて

こんな気持ちは、薬剤師になって初めて
バイタルサイン講習会という名の通り、「バイタルサインの各論と手技が学べる講習会」と思っていました。しかし、実際に受けてみると、それだけではなかったんです。私は、第10回バイタルサイン講習会を受講したのですが、内容が「薬剤師とバイタルサイン」「バイタルサイン各論」「実技」「バイタルサインの本当の意義」の4部構成になっていて、講習会が終わった時、なんだか、これからの保険薬局の進むべき方向性がみえてきたというか、目の前がパッと明るくなった気がしました。さらに、医師である狭間研至先生からのお話は、薬剤師の強みである「薬理」や「薬物動態」「相互作用」の知識が、チーム医療の中で要求されていると感じられる話でした。
とにかく、大きく心を揺さぶられ、「さあ、動かなければ!」と一歩踏み出す勇気をいただきました。こんな気持ちは、薬剤師になって初めて感じたといっても過言ではないですね。

変化した事はありますか?

今では、患者さんに触れずして評価は出来ないと感じています
在宅療養の現場では、バイタルサイン測定を活かした薬剤師のアセスメントが重要ということがわかり、まずはその準備のために投薬カウンターで何か実践できることはないか考えるようになりました。今までは、医師や看護師がとったバイタルサイン情報を患者さんから聞き出し、薬剤師の目線で薬の効果・副作用を評価してきましたが、血圧や脈拍、SpO2だったら、投薬カウンターでもすぐに測れますよね。そこでまずは、循環器科や呼吸器科から処方せんをお持ちになる患者さんのバイタル測定を行うようにしました。そして、自ら収集した情報からも、評価するようになりました。はじめは、「薬剤師がバイタル測定をする!?しかも、保険薬局のカウンターで!?」となると拒否する患者さんもいるだろうなと思っていたのですが、みなさん「はい、お願いします。」と手を出されるんです。内心、驚きました。「今まで薬剤師がしてこなかっただけなのだ。」と感じています。本音を言うと、今まで投薬時に患者さんの手にすら触れることがなかった私が、初めて患者さんのバイタル測定を行う時は、非常に緊張しました。しかし、手に触れた瞬間、「冷たい!末梢循環障害はないか?お薬の影響は?SpO2は正しく測定されるか?」など、色々な事が湧いて出てきたんです。そのとき、バイタルサイン測定は特別なことではなく、薬剤師が薬の効果・副作用の評価を行うための手段にすぎないことに気付かされました。
今では、脈拍に影響をおよぼす薬を投薬する際は、服用前後の脈拍をチェックし比較するなど、さまざまな場面で活用しています。患者さんに触れずして評価は出来ないと感じています。

インストラクター、ディレクター講習会を受けようと思った理由は?

すべての薬剤師に広めなければ!との使命感
初めてバイタルサイン講習会を受ける少し前のことです。薬局に「体がだるくて、栄養剤を買いに薬店に行きました。血圧計があったので測ったら、脈が20しかなくて。薬剤師さんに病院に行くよう勧められて行ったらすぐ入院でね。ペースメーカーを入れてきました。」という患者さんが見えました。その時は、「薬店で血圧を測定されてよかった。」と思うだけでした。
ですが、狭間研至先生の講義を聞いて、「栄養剤一つ販売するのにも、バイタルサイン測定の実施は必要だ。保険薬局、在宅療養、病院、薬店など、どのフィールドにいる薬剤師にもバイタルサイン測定の手技とアセスメントが必要だ。」と強く感じたんです。そもそもの受講理由は、社内でバイタルサイン研修を組み込むためでした。しかし、受講し実践してみて、「社内だけに留めておくべき講習会ではない、すべての薬剤師に広めなければ!」と、使命感を感じたのです。

実際ディレクターになってみてどうですか?

何ものにも代え難い「本気の人との出会い」
いざ、講習会を開催するとなると、かなりの勉強が必要でした。しかし、狭間研至先生のおっしゃる通り「教えることは最高の学び」でした。さらに、講習会へ参加される薬剤師はみなさん志が高く、「本気の人との出会い」があります。これは何ものにも代えられません。とても緊張しましたが、意を決して、講習会を開催してよかったと思います。
講習会終了前と後では、受講生の方々の目の輝きが違うんですよ。一人の取り組みでは、「薬剤師がバイタルをとってアセスメントする」という今までと違った波を起こすことは難しいでしょう。しかし、本気の薬剤師が団結し、一歩踏み出せば、大きな波を起こすことができる。その手助けが出来るディレクターであることに誇りを持っていますし、ディレクター制度を創造された狭間研至先生方には心から感謝しています。

理想の薬剤師の姿は?

地域の方々に寄り添う薬剤師
保険薬局薬剤師の立場での話になってしまいますが、薬の専門家という強みを活かし地域の方々に寄り添う薬剤師を目指したいです。
人が人生を生き抜く上で、「子どものすこやかな成長を願う場面」「健康・健美を求める場面」「病と向き合う場面」「介護をする又はされる場面」など、さまざまな場面がありますよね。薬局のアイテムが必要となった時、その一つ一つの場面に寄り添い、地域の方々の人生という物語に、気が付けば登場していたという存在でありたいと思っています。いわゆるコミュニティーファーマシストとでもいうのでしょうか。「保険薬局は処方せんが無いと入ってはいけない」というイメージをお持ちの方ってまだまだ多いと思います。まずはその概念を取り除く薬局作りをしていきたいですね。そして、私たち薬剤師と関わるすべての方と真剣に向き合い、責任を持つ、と決意することで、自ずとやるべき事が見えてくると思います。薬剤師の団結とチーム医療への参画は、地域の医療をより良い方向に変える力があると考えています。
*インタビューは2013年2月以前のものです。現在はプレゼンテーションスキルを習得するため、規定のセミナーを受けていただいた後でバイタルサイン講習会を開催していただいております。