Director’s Voice 06

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Director’s Voice 06



日本の医療を薬剤師の手で変えていく
岸 雄一
日本在宅薬学会 理事

上尾中央医科グループ上尾中央綜合病院

ディレクター就任以降、多くのバイタルサイン講習会を開催。エヴァンジェリストとなって以降も精力的に活動を続ける。
2014年10月には理事長以外で初となるディレクター講習会を開催。

バイタルサイン講習会を受けたきっかけ

興味があれば、受講してみるべき
単純に興味が有ったから、ですね。
薬剤師が自らバイタルを測定すると聞いた時、エッと思いました。患者に触れてはいけないと言われていた薬剤師が、一体何をするのか?そもそも何のために自分で測るのか?がよく理解できませんでした。病院では、カルテを見ればバイタルは勿論、検査値や画像もそろっているわけです。にも関わらず自分で測定している薬剤師がいる、と聞いて一体どう言うことかなと。
そんな中、医師が薬剤師にバイタルを教えている講習会があると聞き、チョット受けてみるかくらいの気持ちで受講しました。
少しでも興味を持っていれば、受講をお勧めします。私自身、立派な大義名分はありませんでしたし(笑)、新しい世界を感じることができますよ。

バイタルサイン講習会を受けて、変化した事

日本の医療を変える。なんだかその気になってくる。
本講習会では、薬剤師が変わると日本の医療が変わると言うくだりがあります。何かすごく大げさだと思いませんか?
でも講習会が終わる頃には、その気になっていました(笑)。
とにかく狭間理事長が本気でそう考えて、講習会を行っているんです。薬剤師には今以上にやることがあり、それだけの能力を持っているのだから、ぜひ小川を超えて一緒にやりましょう、と言うわけです。
医療を変えるなんて、ものすごい大河を渡るような気がしますよね。しかし私達がやるべきことをしっかりやれば、小川を越えるくらいで医療は変えられるかもしれません。
たった1本の聴診器を使いこなすだけです。決して難しいことはありません。
日在薬の講習会は単にバイタルの手技を学ぶだけではなく、薬剤師人生が変わります。今では薬剤師として医療を変えるにはどうすればよいか、考えて行動するようになりました。

ディレクターになろうと思われた理由は?

若い薬剤師の道を拓くため【考動】していく。
一つは狭間理事長の想いに共感したことと、もう一つはこれからの若い薬剤師に道を拓きたいと思ったことです。そのために自分に出来ることは、ディレクターになって自ら講習会を開催することだと思いました。
これまで薬剤師は処方箋に沿って正しく調剤し、患者さんに服用方法・副作用など添付文書に従って一通りの説明をすることに終始していました。いかに正確に早く調剤するかを重要な仕事だと考え、調剤過誤と待ち時間の対策に知恵を絞ってきたわけです。
このことが不要だとは思いません。ただそれだけで良いのでしょうか?バイタルサイン講習会ではその答えが導きだされます。
薬剤師の使命は、調剤・医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって国民の健康な生活を確保する事です。具体的には、薬物療法における医薬品の適正使用と医療安全の確保です。その一つに正確で早い調剤も含まれると思いますが、他にもやらなければいけないことが沢山あります。薬剤師にとって調剤・服薬指導をして薬歴を書けば調剤行為は終わるかもしれませんが、患者さんの薬物療法は投薬を受けてから始まります。患者さんは薬剤師から薬を受け取り、服用してからが本当の薬物療法なのだと思います。
しかし現状ではここに薬剤師がいない、これで良いわけないですよね。薬を服用している患者さんのバイタルを薬剤師がチェックすれば、薬物療法の効果確認や医薬品の副作用を未然に防いだり、早期発見したり出来るじゃないですか。これが医薬品の適正使用と医療安全の確保です。
これを全ての薬剤師が実践することを目指して、ディレクターとして伝えていくため、考えて動く【考動】をしています。

実際ディレクターになってみていかがですか?

バイタリティーあふれる仲間との出会い。
知人が増えました(笑)。
北海道から沖縄まで、ネットワークが広がりました。ディレクターになっていなければ、知り合えなかったであろう人たちです。しかもそのほとんどがバイタリティー溢れる人です。こうした人たちと一緒に、フィジカルアセスメント・共同薬物治療管理の実現に向けて努力しています。
もっともっと、このネットワークを広げたいと思っています。ぜひ仲間になって、日本の医療を一緒に変えていきましょう!

理想の薬剤師の姿は?

薬剤師主演のドラマをつくる。
ずっと薬剤師が主演のドラマを作りたいと思ってきました。あっ、映画監督になりたいと言うことではないですよ(笑)。
医療をテーマにした映画やドラマの主演は医師や看護師ばかりで、薬剤師はと言えば脇役にすら出てこないものも多いですよね。薬剤師を主役にしても面白い内容の作品にならないから、誰もそんなものを作ろうとしないんだと思います。
医師の指示通り調剤をしているだけでは、ストーリーは成り立ちません。主役もはれる仕事を薬剤師がすれば、いずれ誰かが本に書いたり映像化したりしてくれると思います。薬剤師が使命を全うし患者さんのために決断するようになれば、ドラマティックな展開になるんじゃないかと思います。
自分の決断が患者さんの人生を変えることになる、責任重大ですがやりがいのある仕事ですね。そんな薬剤師が理想です。

最後に

薬剤師が患者の状態を判断し決断する。
大きな責任を持つ薬剤師になる。
バイタルサインをチェックすることは、患者さんの状態を確認するもっとも簡単な手段だと思います。医師や看護師が採取したバイタルデータを活用することは、効率化を考えると有用です。使えるものは大いに活用すべきと思います。
ただ自身で決断を下すべき時、他人のデータだけでいいのでしょうか?
もしも自分が予測していなかった結果を看護師から聞かされた時、私なら間違いないか確認の意味で再度、自分でバイタルを取らせてもらいます。特に聴診音は感覚に左右される要素が多いですから、自分で確かめるのが最良です。判断の度合いが大きくなればなるほど、他人任せにせず自分自身で患者さんの状態を把握したほうが的確な決断ができると思います。薬剤師が決断するようになると、その分責任も重大になるでしょう。ここで薬剤師は逃げるのか突き進むのか、問われていると思います。
薬剤師が自分で患者さんの状態を確認し決断できれば、薬物療法の個別化が進みます。患者さんの個々の状態に合わせた薬物療法の個別最適化は、医療の質の向上につながります。医療の質の向上=日本の医療が変わる、だと思います。薬学6年制になった薬剤師の存在意義は、正にこのことだと思います。
そして我われ薬剤師がバイタルを学ぶ意義も、ここにあります。