認定薬剤師研修セミナー 2017年12月3日

薬剤師のど真ん中
-クリアランス理論に基づいた薬剤師による本質的な薬物治療マネジメントとは?-
講師

東京大学医学部附属病院 薬剤部 助教・副薬剤部長
東京大学医学部附属病院 医薬品安全管理責任者(併任)
東京大学薬学部非常勤講師(併任)
千葉大学薬学部非常勤講師(併任)
略歴
1997年 東京大学医学部附属病院薬剤部 研修生 入部
1998年 帝京大学医学部付属市原病院薬剤部
2000年 東京大学医学部附属病院薬剤部
2005年 東京大学医学部附属病院薬剤部 薬品情報主任
2009年 東京大学医学部附属病院薬剤部 助教
2009年7月 博士(薬学)取得(東京大学)
2015年1月 東京大学医学部附属病院薬剤部 助教・副薬剤部長
所属学会、委員、資格等
- 日本医療薬学会(代議員、認定薬剤師、指導薬剤師、薬物療法専門薬剤師・認定薬剤師認定試験実行小委員会委員、学術小委員会委員)
- 日本医薬品情報学会 (理事、医薬品情報専門薬剤師、添付文書検討WG委員、フォーラム委員会委員長)
- 日本病院薬剤師会 (医薬情報委員会委員、インタビューフォーム検討会委員長)
- 日本腎臓病薬物療法学会(理事、専門薬剤師、認定薬剤師、学術委員会副委員長、統計調査委員会委員)
- 東京都病院薬剤師会(常務理事、広報出版部部長)
- 日本薬学会 ・日本臨床薬理学会 ・日本腎臓学会 ・日本透析医学会
著書
監:鈴木洋史
編:大野能之、樋坂章博
株式会社じほう 書籍詳細ページリンク: http://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/45604/Default.aspx
講義内容
降圧薬Aを飲んでいた患者さんの血圧が低いです。最近、降圧薬でない他の薬剤Bが追加されました。Bの添付文書を見たら降圧薬Aの代謝を阻害するため、薬剤Aの降圧作用を増強させる可能性があるため併用注意となっていました。「◯◯先生、相互作用により血圧が低下したと思います」あるいは「◯◯先生、相互作用により血圧が低下した可能性が否定できません」
薬剤師らしい仕事でしょうか? そもそも本当に相互作用で血圧が下がったのでしょうか? 薬剤Bの併用により薬剤Aの血中濃度はどの程度上昇し、その上昇の程度は降圧効果にどの程度影響を与えるか考察したのでしょうか? そのデータがない場合に、その程度をある程度定量的に評価したうえでの情報提供だったでしょうか? 薬剤師のど真ん中である薬学という学問は、本来、効果やリスクを定量的に評価するための学問です。単に添付文書に書いてあることを伝えるのは中学生でも可能です。起こり得る可能性を定性的に説明するたけであれば高校生でも可能です。薬剤師の本質的なあるべき能力は添付文書に書いてあることが妥当かどうか定量的に考察できる、目の前の患者にその情報を適用可能か定量的に考察できる、患者個別に適した薬物治療マネジメントを定量的に考えて提案できる。それが薬剤師の本来のど真ん中の仕事ではないでしょうか?AIが注目されています。添付文書やガイドラインに書いてあることをただ伝えるだけの仕事はもう既にAIが可能です。腎機能が悪い患者への投与量の情報も伝えるだけなら有用な本を医師や看護師が持っていれば良いだけだし、その情報提供であればAIで代替可能です。
薬剤師なんだから、「薬剤Aと薬剤Bの併用では、相互作用試験のデータはないですが、薬剤Aのクリアランスにおける代謝酵素XXの寄与の程度と、薬剤Bの代謝酵素XXへの阻害の強さからは、薬物Aの血中濃度は◯◯倍程度上昇する可能性が考えられ、降圧作用がかなり強くなると思われますので、薬物Aを1/△程度まで減量したうえで、今後も血圧を慎重にモニターした方がいいと思います」って言える薬剤師になりたくないですか? 「患者のeGFRはこれくらいですが、これくらいの体格なので実際のGFRはこれくらいで、この薬剤Cの腎排泄の寄与は□%なので、具体的な推奨用量は添付文書に書いていませんが、◯倍位に血中濃度が上昇することが考えられ、この薬剤Cは過量になると中枢性の副作用が起こやすくなり危ないので、△mg位に減量するのが妥当だと思います」って考えて言える薬剤師になりたくないですか?このような考え方が出来てこそ薬剤師として薬物治療に本質的に貢献できます。このような理論的な考え方や情報提供は本当に役立ちますし、そうでなければなりません。薬剤師なんですから。この薬物動態学的な考え方の根本がクリアランス理論の理解です。簡単ではないです。プロとしての薬剤師の武器なんですから。でも凄い難しいわけでもないです。それを少しでもわかりやすく、聴講者全員が理解できるように伝えたいと思います。もし、わからなくても、わかるまで復習すれば良いだけです。皆さまはプロなんですから。
2017年12月3日(日)に
【薬剤師のど真ん中 -クリアランス理論に基づいた薬剤師による本質的な薬物治療マネジメントとは?-】が開催されました。
先月の大阪講演も大好評だった大野能之先生に、今回は東京にてご講義いただきました。


参加された皆さまからは、「日々の業務で活かしたい」という声をいただき、とても勉強になったという声を多くいただきました。
今後も開催があればもう一度参加したいという方もいらっしゃいましたので、またご講義いただきたいと熱望しております。


2018年も楽しみなセミナーが目白押しです!ぜひとも皆さまのご参加をお待ちしております。
受講者の声
参加された先生方のナマの声を掲載しておりますのでこれから受講を検討されている皆様、ご参考にしていただければ幸いです。


























