過去の学術大会 第五回 2日目

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過去の学術大会 第五回 2日目



開催の様子(2012年7月16日(祝)8:30~15:30)

総合司会

帝京平成大学
薬学部准教授
井手口 直子先生

座長

一般社団法人
日本在宅薬学会
理事長
狭間 研至

8:30~11:00
(ドリームホール)
ワークショップ I
「POSの実践」~薬物動態を日常に活かしていく~
8:30~11:00
(ハーモニーホール)
ワークショップII
「バイタルサインの習得と手技の伝達」
8:30~11:00
(ファンタジーホール)
シンポジウム I
「薬剤師の新しい職能と法的意義」
11:30~13:00 ランチョンセミナー
「高齢者の服薬支援と地域連携」
13:15~15:15 シンポジウム II
「6年制薬学教育と在宅医療支援」
15:15~15:30
クロージング

8:30~11:00

ワークショップ I
「POSの実践」~薬物動態を日常に活かしていく~

コーディネーター:菅野 彊先生(合資会社どんぐり工房 代表)

POSの実践として「加齢による薬物動態の変化と薬物投与設計」のワークショップを行っていただきました。前半は、加齢による生理的変化で薬物動態がどう変わるのかというテーマの講義、後半は高齢者の個別の症例に対して、複数のグループに分かれて実際に薬物投与設計を行いました。意欲のある薬剤師で座席が満たされ、各グループとも活発な議論が交わされていました。

8:30~11:00

ワークショップ II
「バイタルサインの習得と手技の伝達」

コーディネーター:福田 豊先生
(株式会社ファーマシィ 本社/薬局本部 薬局企画部 薬局研修課
一般社団法人 日本在宅薬学会 バイタルサイン講習会ディレクター)

現場での様々な方の経験をもとに、手技のコツや「薬剤師としてバイタルサインを測定してどうする?」ということを中心に語っていただきました。すぐにでも役に立つ情報が非常に多く、受講者はたくさんメモをとり真剣に話を聞きながら楽しく手技を行っていました。最後には、福田先生が「薬剤師の本気」として熱い想いを語り、会場全体の気持ちが一体となった、非常に実りある会となりました。

8:30~11:00

シンポジウム I
「薬剤師の新しい職能と法的意義」

司会:田原 一様(株式会社イニシア 代表取締役)

ホテル近鉄ユニバーサルシティ「オプス」にて開催されたシンポジウムⅠは、医療業界を様々な形でサポートされている株式会社イニシア代表取締役の田原一様に務めていただきました。



「薬剤師の職能の向上と我が国の医療の発展のために」
講師:中井 清人先生(厚生労働省医薬食品局総務課 課長補佐)

「『価値ある薬局・価値ある薬剤師』を在宅・チーム医療・OTC・地域医療を通じてつくっていきたい。」米国にてCDTMが出来た経緯を引き合いに出しながら、今の環境を、行政だけでなく、医療現場から変えることが出来るとお伝えいただきました。そのためにも医療現場のエビデンスを集めて、みんなで情報発信をしてほしい、そしてそれを行政も待っているという変革を起こそうとしている薬剤師にとって非常に心強い後押しとなる講演でした。



「フィジカル アセスメント(PA)、医師との協同疾病管理(例えばCDTM)を行ための法的考え方」
シンポジスト:三輪 亮寿先生(三輪亮寿法律事務所 所長 弁護士)

薬剤師を支えていただいてるお立場から数々の貴重なお話をいただきました。様々な法的解釈や、現行の法律では薬剤師による処方代行が違法か合法かの法的回答をご講話いただき、迷ったときはいつでも相談してほしいと心強いお言葉をいただきました。また全体を通して病院・開局薬剤師にとってフィジカルアセスメント(PA)を行うことは、今まさに追い風が吹いている状況だと認識できました。「薬・薬・薬・薬連携」(病院・薬局・アカデミア・メーカーの連携)も踏まえ、フィジカルアセスメントが薬剤師にとって、明るく輝く未来につながる道である事を確信できる講演となりました。



「薬局における薬剤師によるフィジカルアセスメントの実践」
シンポジスト:山崎 幹夫先生(千葉大学名誉教授・新潟薬科大学前学長)

薬剤師によるフィジカルアセスメントの目的や必要性とこれからのビジョン、ひいては地域医療に携わるにあたってどう活かすべきかという内容をお話しいただきました。薬剤師による医療行為とは何なのか、またその目的は単なる医師や看護師の負担軽減ではなく、薬物の適正使用のために必要な情報を提供しなければならないという「必要な行為」である事が明確に認識できる講演となりました。また、薬剤師はさらにコミュニケーション能力を磨く事が今後の地域医療に関わる医療人として必要不可欠である事を語られておりました。



「共同薬物治療管理~医師と薬剤師の新しい連携~」
シンポジスト:狭間 研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)

薬剤師がバイタルサインを取る事が大切、という認識は広まっているが、採取する事自体が目的になっていないかを再確認する事ができました。あくまでもバイタルサインは手段であり、薬剤師の専門性を活かして「患者に対して個別に最適化された薬物療法を実施し続ける事」という目的意識が重要であり、薬剤師が出来る事・すべき事を熟慮した上で医師達と共同=協働して薬物治療管理にあたる行動が医師と薬剤師の新しい連携である事を認識できる講演となりました。




様々なお立場の先生から貴重な講演をいただいた後は質疑応答を行いました。多くの聴講者からのご質問と先生方の丁寧なご回答が予定時間間際まで行われ、薬剤師の未来が様々な形で思い描かれている事が感じられるシンポジウムとなりました。

11:30~13:00

ランチョンセミナー
「高齢者の服薬支援と地域連携」

講師:賀勢 泰子先生(医療法人久仁会 鳴門山上病院 診療協力部 部長)

高齢者医療の現場におけるさまざまな取り組みを具体的に示しながら、チーム医療において薬剤師がどのように活躍できるかをお話いただきました。患者さんが求める安心・安全で納得できる医療を病床種別を問わずに提供するためには、病院薬剤師と在宅薬剤師の連携、地域での情報共有が非常に重要ですが、今後はIT技術を活用し、情報共有がよりスムーズに進むのではないか、という明るい希望に満ちたご講演でした。

8:30~11:00

シンポジウム II
「6年制薬学教育と在宅医療支援」

司会:狭間 研至( 一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)

シンポジウムⅡは、一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長の狭間研至が座長を務めました。





シンポジスト:松田 暉先生(大阪大学名誉教授・兵庫医療大学学長)

「6年制教育の目標と課題」というテーマでレジデント制は成功するのか、大学のカリキュラムにフィジカルアセスメントをどう取り入れるか、など、6年制教育に関する現状の問題点についてお話いただきました。そしてこの問題をふまえた上で、卒業後の進路までも視野に入れ、病院と薬局が一体となった教育が必要との認識を示されました。また、質疑応答では、6年制薬剤師が本当に社会で機能するようになるのか、などの見解を求める意見が投げかけられ、本気の医療改革を目指す方々のモチベーションの高さを感じさせられる講演となりました。



シンポジスト:平井 みどり先生(神戸大学医学部附属病院薬剤部長・教授 )

平井先生には、「薬学6年制と薬薬連携」というテーマでご講演いただきました。薬剤業務の対応状況や処方の現状に鑑み、患者さんには薬局でのケア・病院でのケアという薬薬連携が非常に重要であり、そのため、これからは臨床教育や人事交流、薬物治療のさらなる知識が必要であると説いてくださいました。最後に、薬剤師として・人間としてのコミュニケーションについてアドバイスいただき、講演が終了いたしました。



シンポジスト:菅野 彊先生(合資会社どんぐり工房 代表)

菅野先生ご自身、最初は6年制薬学教育への不信感があったことを明かされました。しかし不信が信頼へと変遷したことを経験を交えてお話いただき、6年制教育の最大の目標は既存の臨床薬学と基礎薬学の止揚であり、新しい「実践患者薬学」を確立する時期が今来ていると、期待を込めて語られました。最後に、これからの6年生薬剤師を迎えるために、薬局側も能力を発揮できる環境を整備していきたいとの心強いお言葉ををもって、お話を締めくくられました。



シンポジスト:川添 哲嗣先生(有限会社くろしお薬局 代表取締役副社長)

6 年制薬学教育と在宅医療支援を、過去、現在、未来の3つのポイントからお話いただきました。まずは過去を踏まえるという意味で、在宅医療の原点は通院困難・服薬困難の患者さんのためであることを覚えておくこと。次に現在するべきこととして、「薬、患者、連携」という3ステップの支援のポイントを常に意識すること。最後に、自分の関わる地域の未来の姿を思い描き、夢に向かっていま出来ることをいまやることが大切であるという、日々在宅医療の現場に臨む薬剤師にとって、見失ってはいけない大事なポイントを再認識できる講演でした。

シンポジスト:名倉 弘哲先生(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 救急薬学分野 薬学系 准教授)

緊急時に何かできるという薬剤師が全国に少ない現在、救急から在宅まで網羅する卒前教育・指導薬剤師養成プログラムの必要性を説かれました。岡山大学での救急薬学教育の取り組みをご紹介いただいたほか、チーム医療を実践するためには、褥瘡のアセスメントをはじめ、在宅の現場においても薬剤師のできることがまだたくさんあることを学ぶことができたご講演でした。



2日間のシンポジウムが大盛況のうちに終了いたしました。最後に、理事長の狭間から、「野望は自分の人生の中で達成できる目標、大志は自分の人生では到底遂げられないほど大きな目標。今回のシンポジウムで講演していただいた先生方は、大志をもって医療に取り組んでいらっしゃると感じました」とご挨拶させていただきました。 また、ご参加いただいた方々からは、薬剤師が変わり、医療が変わると身震いした、すごく刺激を受けた、と数々の熱気あふれる感想をいただきました。今後とも、医療人としてのパワーをみなぎらせ、在宅医療・薬薬連携を核として日本の医療をますます発展させていただけるものと確信いたします。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。