過去の学術大会 第六回 1日目

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過去の学術大会 第六回 1日目



開催レポート(2013年7月14日(日)10:00~18:00)

第6回シンポジウム開催の様子

『共同薬物治療管理の実践に向けて』と題し、これぞ大阪という暑さの中、2013年7月14日から15日の2日間にわたって第6回日本在宅薬学会学術大会が開催されました。
薬剤師の皆様をはじめとして、医師・教育者といった医療従事者の皆様より多数のご参加を頂き、昨年の開催時を大きく上回り、800名に迫る大きな学術大会を開催することとなりました。
大きな変革を迎えることとなる数年後に備え、医療従事者それぞれの意識が変わる講演を多数開催いたしました。
新たな発見として、課題として、お持ち帰りいただき日々の業務にご活用いただけるような学術大会となりました。

プログラム内容

総合司会

帝京平成大学
薬学部教授
井手口 直子先生

大会会長

一般社団法人
日本在宅薬学会
理事長
狭間 研至

10:00~10:05

開会宣言
狭間 研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)

700名を超える参加者の皆様をお迎えし、大きな大会を支える大会会長として開会宣言を行いました。




10:05~10:35

基調講演
薬剤師職能の確立に向けて、今こそ脇を固める

座長:狭間 研至 (日本在宅薬学会 理事長)
講師:三輪 亮寿 (三輪亮寿法律事務所 所長/弁護士)

薬剤師の臨床行為(PA)の適法性について再確認することの必要性、通知(平成22 年医政発0430第1号)により、「薬剤師を積極的に活用することが可能な業務」として、従来は医師法17条違反とされるような臨床行為が大幅に適法化されました。これは、行政指導による適法化です。
これにより、薬剤師の活躍に大きな期待が寄せられ、同時に臨床行為を軸とした薬剤師職能の確立にも明るい兆が見えてきました。しかし、薬剤師の臨床行為の適法性について、再確認を促すような2つの事件が相次いで登場しました。(1)薬剤師業務の限界につき再確認の必要性を示唆するような歯科医師に関する最高裁判決(上告棄却で有罪確定:H21.7.26.)。医師と合同の救命救急研修において歯科医師が気管挿管などを行ったことに対する判決。「歯科医師が歯科に属さない疾病に関わる患者に対しそのような手技を行うことは・・明らかに医師法17条に違反する。」(2)省令に基づく行為を違法とした最高裁判決(H25.1.11.)。
省令よりも劣る行政指導に基づいて適法とされた薬剤師の臨床行為については、改めて再検討する必要性が大と言えます。
「省令の規定は違法で無効。改正薬事法からは、ネット販売を規制する趣旨が明確に読み取れない。」
今後、自信をもって薬剤師による臨床行為を推進するには、臨床行為の適法性について再検討する必要性があるのではないかと講演をいただきました。

10:35~12:00

シンポジウムⅠ
薬剤師職能の確立に向けて、今こそ脇を固める

座長:狭間 研至 (日本在宅薬学会 理事長)
オブザーバー:三輪 亮寿 (三輪亮寿法律事務所 所長/弁護士)

在宅医療の実際と薬剤師に望むこと
岡田 晋吾先生
函館市 医療法人社団守一会 北美原クリニック 理事長

高齢化社会の進展に伴い在宅医療、地域医療は多職種連携によるチーム医療の重要性が増しています。
チーム医療に必要な同じ目標、各職種の能力、技能、目指すもの知る役割分担、連携・情報の共有、コミュニケーションが必要とされます。チーム医療に参加する為には薬物動態、適応など薬物に関することだけではなく、在宅医療の特性、褥瘡や緩和医療に関する知識など幅広い知識などが求められていると感じているとチーム医療の必要性を再認識できる講演でした。


高齢化社会に必要とされる薬剤師の養成
福島 紀子先生
慶應義塾大学薬学部 社会薬学講座 主任教授 附属薬局薬局長

多職種によるチーム医療の中で、医薬品使用後の経過観察ができる薬剤師は重要な役割を担うと期待されています。
特に、高齢者医療では、介護・福祉との連携が不可欠であるが、その関わりは末だ少ない。6年制教育に求められる薬剤師の養成として、最適な薬の提供、チーム医療による最適な薬物療法の提供、医療費の適正化、医療安全対策が必要とし、倫理観、責任感、医療人としての教養を身に付けた智情意バランス型の薬剤師が必要と講演されました。


これからの薬剤師のチーム医療への関わり方
名倉 弘哲先生
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 救急薬学分野教授

6年制薬学教育がスタートして8年が経過した。最良の薬剤師のチーム医療への関わり方としてコミュニケーションスキルの醸成、他職種との信頼関係の構築、薬学的管理の徹底が必要で薬剤師としてやるべきこと、やっていいこと、やらなきゃいけないことを明確に常に頭の中で整理することが重要だと講演されました。

12:30~13:30

ランチョンセミナーⅠ

多職種で支える認知症高齢者の嚥下ケア
座長:川船 庸子先生
株式会社阪神調剤薬局 東兵庫エリア統括マネージャー
講師:野原 幹司先生
大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医長 /日本在宅薬学会 理事

2030年には認知症高齢者が600万人に達するとも予測されている。そこで問題となるのが口から食べる機能の障害=嚥下障害であり、約3割の認知症に何らかの障害が生じるとされている。
この爆発的に増加する認知症の嚥下障害に対応するには、特定の医療職だけでは限界があり、多職種で支えていく必要がある。薬剤師の役割として、「服薬指導した薬剤が誤嚥なく嚥下できているかをチェックする」「誤嚥がみられる場合には改善法の指導をする、もしくは専門医療機関に紹介する。」
「薬剤の副作用による嚥下障害、食欲低下に気づき対応する。」等、さまざまな役割がある。これらは薬の専門家として、薬剤師ならではの視点で行えるものである。実際の症例動画や内視鏡動画などで分かりやすい講演となりました。

薬剤師の輝く未来への道
座長:菅野 彊先生
合資会社どんぐり工房 代表/日本在宅薬学会 理事
講師:大澤 光司先生
株式会社メディカルグリーン 代表取締役/全国薬剤師・在宅療養支援連絡会 会長

薬剤師の未来について希望を込めてお話し下さいました。
ご自身が東日本大震災被災地での活動時に感じた多職種連携における薬剤師の役割、超高齢化時代に突入しさらに重要性の増す「在宅医療」における薬剤師の役割を示してくださいました。

在宅医療における褥瘡管理
座長:狭間 研至 日本在宅薬学会 理事長
講師:岡田 晋吾先生
函館市 医療法人社団守一会 北美原クリニック 理事長

在宅医療時における褥瘡管理について講義していただきました。
数々のご経験、データに基づく知識などを惜しみなく伝えてくださいました。
患者本人を含め、治療に関わるすべての人間が話し合い、多くのプランを提示することが重要になります。
非常に多くの学びのある講演となりました。

14:00~15:00

日本在宅薬学会会員・口頭発表Ⅰ
この1年間の取り組み

座長:髙﨑 潔子先生 株式会社タカサ 在宅療養連携支援室 室長

病院からわが家へ コミュニティーファーマシーとして
高橋 恵先生 上越市 トモエ薬局グループ 取締役
トモエ薬局では内服薬から注射薬の調剤、業務の効率化、バイタルサインチェックを用いた薬効評価や服薬指導、退院時調整や在宅医療に力を入れられており、この1年間の新しい業務の取組みを発表いただきました。


誰でも出来る在宅から始めよう!~初心者でも出来た編~
坂井 美千子先生 北九州市 さかい薬局グループ 代表取締役
現在、高齢者人口30%弱という超高齢化の時代を先取りしている筑豊・京築地区。老老介護や独居は当たり前。
その中での1日の流れなど発表いただきました。


百花春至為誰開
豊田 義貞先生
京都市 有限会社ファーマベスト 松井調剤薬局 まつばら店 管理薬剤師
人の「生きる」を支える仕事、共通のビジョンを意識して、薬剤師の使命をまっとうし誰のために戦うのかを発表していただきました。


フィジカルアセスメントが示すものとは?
~がん・緩和医療を中心にした取り組み~

伊東 俊雅先生 東京女子医科大学病院 薬剤部 薬剤副師長
近年緩和医療が最も重要視されているが、がん対策基本法においても研修会の機会確保などが明文化されがん医療にかかわるスペシャリストの増員が来たいされている。
大学病院の中で専門のがん・緩和医療の取組みを発表いただきました。




座長:古田 精一先生 
北海道薬科大学 社会薬学系地域医療薬学分野 教授

この1年のあゆみ
-糖尿病の患者さんの生活改善支援の環境づくりを目指して-

森山 宏美先生 甲府市 株式会社クスリのサンロード
糖尿病患者様の生活環境の改善支援についておこなった病状改善のための支援など1年間のあゆみを伝えてくださいました。


在宅医療支援室のこの1年間の取り組みについて
加藤 仁先生 新潟市 市民調剤薬局 在宅医療支援室
在宅医療支援室立ち上げからの1年の勉強会の実施やバイタルサイン講習会の開催など、幅広い活動を報告してくださいました。


現場で奮闘する訪問薬剤師の取り組み
~地域包括ケアで機能する医療人を目指して~

手嶋 無限先生 長崎市 開生薬局高田店 管理薬剤師
在宅訪問を進める中で感じた薬剤師の立場や役割について実践内容と共に伝えていただきました。


調剤薬局における患者中心の医療の方法(PCCM)導入と患者アウトカム向上について
山本 千尋先生 センター薬局グループ 上川店
患者様それぞれの背景に応じて、患者中心の医療を医薬連携にて進めるPCCM導入の効果についてご報告してくださいました。

15:30~18:00

シンポジウムⅡ
「共同薬物治療管理と薬薬連携・がん外来化学療法」

座長:松井 礼子 国立がん研究センター東病院 薬剤部

共同薬物治療管理への期待
―がん外来薬物治療の現場において―

鈴木 央先生 鈴木内科医院 副院長/日本PC連合学会 理事

がん化学療法は診療所で行われることもある。多くは進行したがんを持ったケースに行われ、疼痛コントロールに用いられる医療用麻薬と化学療法が併用されることも少なくない。
これらの薬剤の処方計画の順守、効果の評価、副作用の有無の確認と対策については、忙しい診療所業務の合間で行うことは正直負担が大きく、アドバイスを要することも少なくない。
この意味で薬剤師がパートナーとして関わること、すなわち日本型共同薬物治療管理の実現については大いに期待するところであり、症例を交えながら講演していただきました。

がん外来化学療法の現状と薬剤師の役割について
和田 敦先生 神戸低侵襲がん医療センター 薬剤部 主任

近年患者ニーズの高まりや、支持療法の発達、有用な内服抗がん剤の登場などにより、がん化学療法は外来にて実施されることが多くなっている。
しかし、外来診療においては、入院での治療と比べ、患者さんが医療従事者と接する時間は極端に少なくなる。
この様な現状において、薬剤師は薬薬連携や、病院薬剤師の外来での活動などを通じて、薬学的ケアを提供する必要があり、これまでの取組みを講演していただきました。

外来がん化学療法による有害事象対策と薬剤師の役割
~大学病院と保険薬局を経験して~

男鹿 宏和先生 東京女子医科大学八千代医療センター薬剤部

がん化学療法施行中の患者の院外処方せんの増加により、病院と保険薬局の強固な連携が求められています。
近年、新規抗がん剤が臨床導入されがん治療成績の向上が得られた反面、重篤な有害事象も報告されています。有害事象の多くは在宅で発生しており、生活の質の低下や治療継続が困難になったり中止に至ることもあります。
そのため、フィジカルアセスメントから有害事象の早期発見に努め重症度を評価し、処方支援や受診勧奨を行うことでがん治療の安全性を確保することが期待されています。
「制吐療法の臨床的意義」「悪心・嘔吐の病態生理」「制吐療法の適正使用」「症例報告」などを講演いただきました。

外来化学療法施行患者に対する薬薬連携の取り組み
~保険薬局の立場から~

長久保 久仁子先生
株式会社メディカルファーマシィー ミキ薬局 第一ブロック長

近年、がん患者に対してXELOX療法など注射剤と経口剤の併用療法が増加していて、経口剤を院外処方として発行している病院も少なくはない。
しかし薬局では処方箋から告知の有無や化学療法レジメンを知ることは困難であった。
そこで平成22年より東京女子医科大学病院の薬剤師と連携し薬局薬剤師が適切なサポートを行うために何をすべきか検討し、カペシタビン錠服薬チェックシートを作成した。
このチェックシートの有用性や患者の反応、そして現在までの取り組みについて保険薬局の立場から講演していただきました。

統合医療における臨床アロマセラピーの可能性
相原 由花先生
ホリスティックケアプロフェッショナルスクール 学院長
関西医科大学心療内科講座 研究員

米国において補完代替医療は「近代西洋医学以外のすべての医療・ヘルスケアシステム・実践・生成物質を示す」と定義されます。
その中でも「アロマセラピー」は看護領域においてポピュラーな手技療法となっており「漠然とした不安」、「死への不安」、「スピリチュアルペイン」に対する推奨介入として提示され、有効な介入として期待されています。
講演では、がん患者の緩和ケアにおけるアロママッサージの有効性と意味について 講演いただき、治療できない人がいてもケアできない人はいないと語られておられました。

懇親会

18:30~20:30

懇親会の様子


◆来賓 ご祝辞
藤垣 哲彦先生(大阪府薬剤師会 会長/日本薬剤師会 副会長)
吉田 武美先生(薬剤師認定制度認証機構 代表理事)

藤垣 哲彦先生

藤垣 哲彦先生

吉田 武美先生

吉田 武美先生

懇親会には、多くのご来賓の皆様にお越しいただき、日本在宅薬学会の今後の発展に期待のお声を寄せていただきました。

◆乾杯
松田 暉先生(大阪大学 名誉教授/神戸国際医療交流財団理事長/日本在宅薬学会 顧問)

松田先生に日本在宅薬学会を多職種を含め大きな会にし、さらなる新しい風を起こそうと乾杯のご発声をいただきました。


◆謝辞
平井 みどり先生(神戸大学医学部附属病院薬剤部長 教授/日本在宅薬学会 顧問)

謝辞は、当学会顧問の平井みどり先生よりいただき、
日本の薬剤師が変わろうとしている会に私たちが立ち会えることが
幸せとお言葉を頂きました。


◆閉会のご挨拶
狭間 紀代(日本在宅薬学会 理事)

狭間紀代

閉会のご挨拶は当学会理事狭間紀代より述べさせていただきました。
多くのスタッフの皆様に支えられ学会運営できましたことを心より御礼いたします。
最後に出席者で心を一つに、「世界に一つだけの花」を合唱しお開きとなりました。