総評〜第4回在宅療養支援認定薬剤師認定試験を終えて〜

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総評〜第4回在宅療養支援認定薬剤師認定試験を終えて〜



一般社団法人 日本在宅薬学会 副理事長 手嶋 無限

 日頃より日本在宅薬学会の活動にご理解とご支援を頂きありがとうございます。日本在宅薬学会が実施している在宅療養支援認定薬剤師の認定試験について、筆記および面接試験を終了しましたので、認定試験の実施を終えての総評を述べたいと思います。
本認定試験は、在宅医療に関する【知識】【技能】【態度】を備えた全く新しい薬剤師を認定するものであり、日本在宅薬学会主催バイタルサイン講習会の受講による【技能】修得が必須としております。その上で、在宅療養支援の現場で必要となる【知識】【態度】を評価するため、認定講習会や学術大会参加などで一定単位を取得した方を対象に、筆記および面接試験を実施しています。筆記試験では、在宅療養支援に関わる幅広い知識を問うことで、実際の現場での多職種との連携や薬学的介入に必要となる【知識】を評価しました。面接試験では、“患者の状態管理が十分できているか?”“医師との協働の中での薬学的介入とその後の確認・評価が行えているか?”など、申請書類の5症例や面接時の質疑応答などを通して、対物業務だけではなく対人業務を如何に実践できるかの【態度】を評価しました。
在宅療養支援を担う薬剤師は、病院だけでなく療養の場所を問わず、医療人としての責任を全うし、多職種協働の中で様々な薬学的介入による医薬品の適正使用や医療安全の確保などの推進が求められています。実務においては、訪問薬剤管理指導計画の中で到達目標を明確にし、患者状態に応じた処方提案や必要となる検査のオーダーなどの関わりに加え、共同指導を通したチームの共通認識や方向性の確認により、薬学的管理の基本的な情報や薬剤師職能の理解を図っていくことが重要となります。受験者の皆さまには、今後の活動における地域の方々との関係構築や相互理解を進めていく上でも積極的な関わりを期待します。
在宅訪問は一つの介入ツールであり、限られた社会保障費や本人の自立支援の観点からは、状態変化での処方見直しや薬剤師の介入で減薬できた場合など、より介入優先度の高い方への関わりが強化できるよう、多職種協働の中で調整する必要があります。受験者の中には、医療・介護のサービス提供側の都合ではなく、患者本人の意思を確認する中で、薬局で活用可能な一般用医薬品や健康食品、介護用品などの健康支援関連アイテムを駆使した薬剤師の関わりが実践されている事例も確認され、薬剤師の可能性を感じました。
患者の住まいが個人宅の場合、介護施設に比べ医療・介護の連携や見守りなど、諸々のケア環境の整備が薬学的介入を行う上でも必要となることが多々あります。そのため現在、介護施設の訪問のみの受験者には、今後より幅広い在宅療養支援の実践を行う上でも、地域の中での顔の見える専門職となり、服薬支援が必要な個人宅での在宅療養支援の実践を期待します。また、そのような療養環境の違いの中でも、「専門性に基づいた責任とチームへの貢献」を実践できる専門職として、個々の集まりに止まらず、チームの総合力を相乗的に向上できる現場力と調整力を、受験者それぞれの地域で発揮して頂きたいと願っております。
最後に、提出された5事例の事例シートの記載において、審査に際し書面上の記載不十分や書式不統一など、患者状態の把握が困難なものも確認されました。患者全体像を捉えるためにも、処方情報・患者状態・生活環境などを把握した上で、バイタルサインや臨床検査値を適切に活用したフィジカルアセスメントによる薬学的介入とその後の評価を、より客観的に実践できるよう、今後の課題として提示させて頂きます。
このような状況を鑑み、在宅療養支援認定薬剤師認定試験を担当させて頂いた者を代表して、上記の内容について総評とさせて頂きます。今後も日本在宅薬学会の活動にご理解とご協力を頂くとともに、受験者の方々の更なる発展を大いに期待します。

手嶋 無限
アイビー薬局 取締役・副社長

【学歴・職歴】
2000年3月 福岡大学薬学部製薬化学科 卒業
2000年4月 厚生省認定薬剤師実務一年研修 (2001/3月まで)
2003年3月 長崎大学大学院薬学研究科医療薬学専攻博士前期課程 修了
2006年3月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科生命薬科学専攻博士後期課程 修了
2006年4月 長崎大学医学部・歯学部附属病院薬剤部 技術職員・薬剤師 入局(2010/3月まで)
2010年4月 有限会社開生薬局 薬剤師 入社
2010年6月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 GP専任准教授 就任 (2012/3月まで)
2012年4月 有限会社開生薬局高田店 管理薬剤師 入社 (2015/9月まで)
2015年4月 長崎大学薬学部 准教授(実務家教員) 就任 (2015/11月まで)
2015年7月 長崎大学薬学部 臨床准教授 就任 (2016/3月まで)
2015年10月 有限会社開生薬局 薬剤師 (2016/9月退職)
2015年11月 長崎大学薬学部 特任准教授 就任 (2017/3月まで)
2016年10月 アイビー薬局 薬剤師(2017年4月から常勤、2017/6月から取締役・副社長)


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