2022年9月25日(日)開催
第5回薬局パートナーシンポジウム
講師:狭間研至/山口竜太/米澤未央/吉野奈美   開催地:ハイブリッド形式(リアル参加+Web参加)

対人業務への強化~薬局パートナー制度~

薬局パートナー制度導入のきっかけ作りになるために
2015年10月に策定された『患者のための薬局ビジョン』で薬剤師は対物業務から対人業務へとシフトするように通達があり、2019年4月2日に厚生労働省から発出された「調剤業務のあり方について」という通知(0402通知)では非薬剤師でもできる業務が記載されており、薬剤師が薬を飲んだあとの患者の状態を把握することや薬剤師が患者と向き合える環境の構築が重要であると考えられます。
本シンポジウムでは薬局パートナー制度を導入している薬局の活動を通じ、『薬局パートナーとして働きたい!』『薬局パートナーを導入しないと!』となるようなきっかけ作りとなれば幸いです。

※『薬局パートナー®』とは、一般社団法人日本在宅薬学会の商標登録名です。薬局で薬剤師と協働し、医療人として活躍してもらえる非薬剤師職のことをさします。

薬剤師と薬局パートナーの協働 ~ハザマ薬局10年の苦闘の結論~

狭間 研至 ファルメディコ株式会社 代表取締役社長

平成7年大阪大学医学部卒業後、大阪大学医学部付属病院,大阪府立病院(現 大阪急性期・総合医療センター)宝塚市立病院で外科・呼吸器外科診療に従事。
平成12年大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科にて異種移植をテーマとした研究および臨床業務に携わる。平成16年同修了後、現職。
医師、医学博士、日本医師会産業医。
現在は地域医療の現場で医師として診療も行うとともに、薬剤師生涯教育や文部科学省薬学系人材養成の在り方に関する検討会委員としても薬学教育にも携わっている。

薬局は、医療機関から発行される処方箋を受け取り、薬を渡すだけで良いのか。その疑問を解決すべく、薬剤師によるバイタルサインの採取を始め、在宅での単独訪問、外来での先服薬指導、セルフメディケーションへの取り組みに取り組んでいた。
しかし、現場は疲弊し、業務は上手くいかず、経営も苦戦する一方であった。

そんな苦闘のまっただ中だった2012年11月。それまで「アシスタント」と呼んでいた薬剤師以外のスタッフを、「パートナー」(2020年に「薬局パートナー」と改称)という呼称にし、その業務範囲を「調剤事務」的な位置づけに制限せず、「業務的には重要だが薬学的専門性がない」部分に拡げることとした。いわゆる0402通知が出る6年以上前のことであり、薬局内では否定的な意見が大多数を占めていた。

それから、10年が経過しようとしているが、薬局のあり方が明確に見えるようになった。それは、外来、在宅、OTCの3つの分野で、薬剤師がお薬を渡すまでではなく、のんだ後までフォローするということである。これを具現化することは、地域包括ケアシステムの一端を担うことに他ならないが、この実現には、「薬局パートナー」の存在が不可欠であった。

本講演では、「薬局パートナー」制度に関する基本的なポイントをご説明したい。

パートナーの質が薬剤師の質になり薬局の価値となる

山口 竜太 株式会社ココカラファインヘルスケア
      中川調剤薬局平岡店 薬局長・管理薬剤師

2016年 4月 ファルメディコ株式会社・ハザマ薬局入職
2016年 6月 ハザマ薬局加美南店配属 有料老人ホーム1施設(約55名)の施設在宅を担当
2016年 12月 リスクマネジメント委員会就任
2017年 6月 グループホーム、特別養護老人ホーム各1施設の担当に就く
2017年 12月 リスクマネジメント委員会副委員長就任
2018年 3月 店舗統合のため平野センターに移動 有料老人ホーム2施設(約110名)の施設担当に就く
2020年 9月 ファルメディコ株式会社・ハザマ薬局 退職
2020年 10月 株式会社グローバルメディック 入職
2021年 3月 株式会社グローバルメディック 退職
2021年 4月 株式会社ヘルスギルド 開設
2021年 6月 あおい薬局兵庫店 開局
2022年 2月 あおい薬局兵庫店 閉局
2022年 3月 株式会社中川調剤薬局 入職

私の薬剤師キャリアは薬局パートナー制度の生みの親であるハザマ薬局でスタートさせました。その後、薬局パートナーの制度のない在宅クリニック、薬局を経験し、今あらためて薬局パートナー制度のある中川調剤薬局にて勤務しています。

薬局パートナー制度のあるなしの職場で働いた私の実感として「薬局パートナーは薬局に必要だ」と強くあります。

新人入社したハザマ薬局では、薬局パートナー制度があったため、新人のときから多くの処方提案が医師にできていました。それは、薬局パートナーの働きにより、私に「薬学」を考える時間が十分にあったからです。

一方で、その後薬局パートナーのいない薬局に転職を経験しました。そこは在宅医療に熱い薬局だったのですが、薬局パートナーがいないため、対物業務のほとんどを薬剤師で行っていました。これでは対人業務に力を入れたくても入れられませんでした。

そして今の職場である中川調剤薬局には薬局パートナー制度があります。
薬局パートナーがいますので、常に患者さんの前に立つことができています。ヘルプで入った店舗でも「薬学」を使った思考ができており、トレーシングレポートをヘルプ先で出すことも可能です。それはやはり、対物業務を薬局パートナーと協働しているから。私の1日の勤務が一度も調剤室に入らず、患者の前で終わることもあります。

このように、薬局パートナーのあるなしを経験して、圧倒的にやりがいを感じるのは、薬局パートナーがある薬局で患者と向き合っている時間です。そこに薬剤師としてのやりがいと喜びを感じます。その時間、気力、体力も、薬局パートナーによって創り出されたものです。

薬局パートナーは必要。
それは薬剤師が薬剤師としての仕事に集中するために必要なことで、それが薬局の新たな姿、価値になっていくだろうと実感しています。

「薬局パートナー」が薬局を変える

米澤 未央 ファルメディコ株式会社 ハザマ薬局

2001年 3月 岡山理科大学卒業
        卒後、同大学研究員
2004年 3月 医療ビジネス専門学校卒業
2004年 4月 特定医療法人 入社
        地域医療連携室、診療情報管理、
        医師事務作業補助者、介護事業部運営に携る
2014年 7月 ファルメディコ株式会社 入社
        ハザマ薬局森ノ宮店 配属
        登録販売者、店舗運営マネージャー
現在に至る

ハザマ薬局入社当初の店舗や業務環境を振り返ると、業務量の多さ、スタッフの入れ代りの頻回さ、また、パートナーと呼ばれる事務職の医療人としての意識の希薄さに驚き、この環境を変えなければと思ったことを思い起こす。
そこから8年が経過し、会社組織としては、「薬局パートナー」の業務変化・その確立が成され、社内外での活躍の場も広がってきている。2016 年からは「パートナーキャリアプラン」が検討開始され、評価制度や求められる知識、スキルが明確化された。また、所属する店舗でも、独自に地域活動や集客、OTC 販売への取り組みを進め、薬局パートナーができる事柄が増えてきたと実感している。離職率も下がり、業務を理解し、薬剤師と協働で薬局事業に取り組むことが当然にできるスタッフが多く成長している。
そんなスタッフが、店舗や会社組織の成長に寄与しているところと、これまでの過程をお伝えできればと考える。

医療資源としてのパートナーの役割

吉野 奈美 有限会社はらから まえはら調剤薬局

2004年 4月 有限会社はらから 入社
        まえはら調剤薬局 配属
2017年 1月 統括マネージャー 就任

弊社は創業以来、OTC 販売を中心に地域顧客の健康相談を行ってきた。時代の変化に合わせ調剤を行うようになり、在宅を受ける事となった。「かかりつけ薬局」としての役割を担うため、薬局スタッフは薬剤師と協働し「自分たちに出来ることは何か?」を心がけ取り組んでいる。調剤スタッフはパートナーとなり、円滑な作業を遂行するため見える化、効率化、機械化に取り組んだ。その結果、パートナーは薬学的知識を必要としない、重要度の高い業務を行う事が出来るようになった。
また、在宅における「定期受診日管理」「飲み始め日管理」「他科受診管理」「残薬管理」など、管理業務を薬剤師と協働して行っている。OTC では登録販売者の資格を活かし販売に関与し、漢方販売セミナー修了者を中心とした漢方相談に応じ、顧客の健康相談の窓口となっている。パートナーは、調剤室での対物業務を行うだけでなく、顧客に薬剤師、多職種を繋ぐための重要な役割を担う。薬局スタッフとして医療に携わる事の重要さを理解し、第一線で顧客に関われる事をやりがいとして活躍する中、施設在宅の契約を獲得するパートナーも現れ、運営の面からも薬局を支えている。薬局スタッフの医療人としての向上心が薬局の質の向上となり、なくてはならない薬局として定着させ、地域の医療資源として大きく貢献できるのではないかと考えている。パートナー、薬局スタッフは薬剤師の良きパートナーであり、何より、顧客の良きパートナーとなれるよう日々奮闘中である。

第5回薬局パートナーシンポジウム 基本構成

開催日時

2022年9月25日(日) 10:00 ~ 13:00

講師/内容

狭間 研至(ファルメディコ株式会社 代表取締役社長)
 薬剤師と薬局パートナーの協働 ~ハザマ薬局10年の苦闘の結論~

山口 竜太(株式会社ココカラファインヘルスケア 中川調剤薬局平岡店 薬局長・管理薬剤師)
 パートナーの質が薬剤師の質になり薬局の価値となる

米澤 未央(ファルメディコ株式会社 ハザマ薬局)
 「薬局パートナー」が薬局を変える

吉野 奈美(有限会社はらから まえはら調剤薬局)
 医療資源としてのパートナーの役割

場所

ハイブリッド開催(リアル参加+Web参加)
リアル参加(大阪会場):アットビジネスセンターPREMIUM新大阪(正面口駅前)910号室 【リンク】
Web参加:ZOOMを利用したオンライン会場

受講費

会員:8,000円(税込)
非会員:11,000円(税込)

定員

リアル参加:50名
Web参加:200名

単位

2.0単位

共催

PHB Design株式会社

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