株式会社 タカサ 高崎 潔子 Yoshiko Takasaki

活躍するシニア薬剤師たちの更なる活性化を

日本在宅薬学会に多数在籍するディレクターの中でも、精力的に活躍し、輝いている女性の一人。在宅の現場でのキャリアを活かし、現場で役に立つ、 必要になる様々な心構えまでを多くの薬剤師に伝えている。


講習会があると聞いて。 これからの薬剤師としての羅針盤をいただきました。

バイタルサイン講習会を受けられたきっかけは?

狭間先生が千葉でバイタルサイン講習会をされると聞き、受講する事にしました。
受けてみて、ずっと抱いていた心の中の葛藤が解決されました。 数年来、在宅での服薬指導にかかわっていたのですが、本当にこれでいいのか?と、ずっと葛藤していたのです。でも、講習会が終わって、今日から殻を破ろう、と強く思いました。「薬剤師は患者さんの肌に触れてはならない」という神話が崩れ、これから薬剤師がやらなければならない本当の仕事へ向けて羅針盤をいただいたように感じました。


現場での仕事の質、患者さんとの関わり方が変わりました。

バイタルサインを受けて、変化した事は?

血圧計やパルオキシメーターを必ず持参するようになりました。医療系サービスを必要としない利用者さんの場合に、ケアマネさんからバイタルサインのチェックをしてほしいとの要望を受ける事があります。その要望に応えられるようになるなど、仕事の質が変わりました。
また、患者さんとの関わり方が変わりました。会話することも増えましたし、患者さんの不安を和らげることができる経験も増えました。例えば、不定愁訴の多い患者さん宅に訪問する時、若干不安そうだったのですが、脈をとってみたらいつもと変わらず、それを説明すると安心されました。他にも、訪問時に発熱をして具合が悪いとのことで、熱を測り、血圧を測ってからその結果を主訴と共に医師に説明し、医師からの指示で感冒薬の処方となったこともあります。その患者さんは、予後もよく回復されました。


日々の仕事に対する意識も変化

他職種と連携する際に重要なことですが、他の職種の役割を理解し、それを踏まえ、薬剤師の立ち位置を理解して仕事をするようになりました。また、日々バイタルサインの手技の復習を心がけるようになりましたし、研修会の実施方法にも、今までよりさらに工夫をこらすようになりました。
薬学的判断をするための研修は今までのやり方でいいのか?それを現場で応用するには何をすべきか?せっかくインプットした知識や手技を、現場で場面に応じてアウトプットするためには手技の研修で検証されたようにロールプレイが効果的なのではないか?
こういったことを、周りにいる薬剤師仲間と話す機会が増えました。


『本当の薬剤師の仕事』を多くの薬剤師に伝えたい

ディレクターになろうと思われた理由は?

在宅の現場における『本当の薬剤師の仕事』を多くの薬剤師に伝えたいと思ったからです。そして、これから社会を支える世代の、多くの薬剤師さんの在宅医療に取組むきっかけ作りのお手伝いができればと思っています。


はじめは不安でした。 でも、受講を終えた参加者の満足感が、力になる。

実際ディレクターになってみてどうですか?

はじめは、自分にできるか不安でした。それでも、狭間先生や他のディレクターが開催する講習会にお手伝いとして参加して、ディレクターとしての仕事を見せていただき、未熟ながら始めてみました。
開始前は不安そうな参加者が、終わった後に満足感を持って帰られるので、そのことが次の開催への力となっています。手技の伝承は自己研鑽でもあり、多くの機会を持ちながらディレクターとして微々でも、日々進化していきたいと感じています。


他職種・地域・病院・薬剤師との連携を、橋渡し役となり、サポートし、活躍するシニア薬剤師

理想の薬剤師の姿は・・・

同年代のシニアの薬剤師の更なる活性化ができないか?と模索しています。シニアの薬剤師は、現場の仕事からは離れている事が多いですが、在宅の現場こそ、シニアの薬剤師のもつ、豊富な知識や話術が活躍できる場だろうと考えています。 例えば、包括支援センターに知識と経験豊富な薬剤師を配置すれば、ケアマネさんやヘルパーさんからの、現場での困難な事例の相談に素早く応じることができるかと思っています。また、患者さんをみていると、生活習慣や介護力不足が原因で、必ずしも調剤された薬を服用しておられない場合が多々見られます。そのことを受診のときに医師に伝える事、残薬の管理、本来必要な薬の服用勧奨、受診勧奨、患者さんのかかりつけ薬局への取り次ぎなどが、シニア薬剤師ならば非常にスムーズに橋渡し役が行えるのではないかと思っています。


シームレス医療を一歩進めた 「のりしろ医療」が必要

病診連携・薬薬連携などシームレス医療が推進されていますが、もう一歩進んで「のりしろ医療」が必要と考えています。入院中と退院後に医療・介護の情報を共有するには、ケアマネさんが中心になって行う退院時共同指導への参加や連携パスなどの活用が必要であり、少しずつ進んでいますがまだまだ少ないのが現状です。病院薬剤師と薬局薬剤師が同席したり、連携パスを活用することで患者さんの情報が「のりしろ」として共有化できればと思っていいます。


最後に

バイタルサイン講習会の受講をしたあとの活躍をサポートしたく、バイタルサインなどのロールプレイの練習を行うオフ会、在宅服薬指導の事例検討会を地域で行っていければと思案中です。 在宅での薬剤師の仕事は「きめ細かく」・「丁寧に」・「立ち入り過ぎず」・「ほど良い加減」で支援しなければならないと考えています。他の職種の理解をし、薬剤師の本領が発揮できるように立ち位置を確認しながら、「おたがい様」の気持ちで連携していくことが課題かと感じています。
*インタビューは2013年2月以前のものです。現在はプレゼンテーションスキルを習得するため、規定のセミナーを受けていただいた後でバイタルサイン講習会を開催していただいております。


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