第1回日本在宅薬学会 パートナーシンポジウム

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第1回日本在宅薬学会 パートナーシンポジウム



第1回日本在宅薬学会 パートナーシンポジウムについて

背景

現在、我が国の高齢化率は25%を超え、今後ますます超高齢社会が進んでいきます。
2025年には高齢化率が30%を超えると予想され、日本の医療形態も医療機関から在宅・介護施設へとシフトしてきています。地域包括ケアの実施、拡充が進められる中、薬剤師もチーム医療の一員として在宅現場に出て、医師、歯科医師、看護師、ケアマネジャーなど多職種と協働して働くことが求められています。
薬剤師がチーム医療の中で協働して働くためには、非薬剤師(調剤事務員)との連携、活用がとても重要です。日本在宅薬学会では、今後、非薬剤師を対象とした教育にも力を入れ、薬剤師と協働して働ける人材(パートナー)を育成し、ゆくゆくはパートナー認定制度の実現を目指しています。
そのための第一歩として、今回、「在宅業務におけるパートナーの立ち位置」をテーマにシンポジウムを開催することと致しました。
本シンポジウムでは、既に非薬剤師の活用に取り組まれている薬局の調剤事務員に登壇していただき、薬局での非薬剤師の在り方などをご紹介します。

開催概要

日時:2017年4月23日(日)13:00~17:00
場所:大阪国際会議場(グランキューブ大阪)会議室1001+会議室1002
〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島5丁目3-51
詳細地図はこちら

テーマ:「在宅業務におけるパートナーの現状と今後の展望~薬剤師が現場で専門性を発揮するために~」
座長・演者

<スケジュール>
13:00~17:00
13:00~13:05 オープニングリマークス 狭間 研至
13:05~14:00 基調講演 赤羽根 秀宜先生
14:00~15:30 シンポジスト講演 1名 13分 発表 10分・質疑応答 3分
15:40~16:20 参加者全員・壇上のシンポジスト全員との討論会
16:20~17:00 クロージングリマークス 狭間 研至
閉会
17:30~19:30 懇親会 グランキューブ大阪5F「まいどおおきに大阪国際会議場食堂」


座長:狭間 研至
(一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)
基調講演:赤羽根 秀宜
(中外合同法室事務所 弁護士)


<シンポジスト>
椎野 祐介 専務取締役(有限会社グット・クルー)
「在宅特化型調剤薬局における非薬剤師によるサポート体制の捉え方」
笠森 まどか(株式会社スパーテル てまり西泉薬局)
「施設在宅でのパートナーの役割~薬剤師との協働~」
野田 恵(さかい薬局グループ 株式会社薬心堂 さかい調剤薬局 事務主任)
「MP(わたし)に出来ること~ONE for ALL★ALL for ONE~」
中村 直子(株式会社市民調剤薬局 医事セクションリーダー)
「医療事務の新たな役割の模索~私たちの挑戦~」
吉野 奈美(有限会社はらから まえはら調剤薬局 統括マネージャー)
「薬剤師時間確保に向けた調剤事務の効率化」
米澤 未央(ファルメディコ株式会社 ハザマ薬局)
「薬剤師のベストパートナーであるために ~ハザマ薬局森ノ宮店での取組み~」
(※敬称略)

基調講演

法律からみる薬剤師とパートナー制度

赤羽根 秀宜(中外合同法室事務所 弁護士)

薬剤師の業務に関して、パートナー制度を導入するにあたっては、法的な部分を抑えておく必要がある。そこで法律の観点からパートナーができる業務・できない業務について講演をしていただきました。 まずはパートナーとは何か?業務を薬剤師がすべて行うのか?ということを考え、法律の側面から薬剤師の本質的業務について紐解いていきました。

薬局内の業務を非薬剤師に任せるということは、従前から行われていますが、その線引きをあまり意識せずに行ってきたのではないでしょうか。この線引きを明確にしていくことは、パートナー制度が確立していくためには必要不可欠であるということでした。

法的にパートナーに任せることができる業務とパートナーに任せていい業務はイコールではなく、提供する医療の質や医療安全が低下するのであれば、国民からの理解を得られるように検討が必要である。これは、パートナー制度を導入するにあたっての重要な視点と考えられます。 国民の健康な生活のためのサポーター制度を作っていくことがこれからの薬局には必要であるとご講演いただきました。

シンポジウム

在宅特化型調剤薬局における非薬剤師によるサポート体制の捉え方

椎野 祐介(有限会社グット・クルー 専務取締役)

非薬剤師として最初から薬局事業に関わってきたこれまでの経験、実例を交えながらご講演いただきました。 高齢化社会に向けて期待される調剤薬局のあり方を捉えた上で、調剤薬局における薬剤師の役割・業務の変化を理解していく必要がある。その上で、従来の調剤薬局では本当のニーズに応えることができないというお話から、非薬剤師がサポートする体制について独自のノウハウ、視点から分かりやすく講演していただきました。

ご自身が運営する在宅特化型調剤薬局において、医療をサポートするクラークを参考に作った「ファーマシークラーク」が業務をサポートすることによる体制導入のメリット、経営コストの実例などをお話していただきました。

施設在宅でのパートナーの役割~薬剤師との協働~

笠森 まどか(株式会社スパーテル てまり西泉薬局)

平成27年1月に開催されたハザマメソッド研修会に参加し、約2年前にパートナー制度を導入した。今回、約2年間のパートナーとしての業務経験を通して施設在宅での業務内容の長所・短所、課題などを報告していただきました。

訪問前~訪問後に行っていること、業務効率化のために行っていること、協働による効果、パートナー業務の評価についてご講演いただき、パートナーもチーム医療の一員として参加することが有用であることが示された反面、パートナー業務の見直しや評価について、これからの課題もみえてきたとご講演いただきました。

MP(わたし)に出来ること~ONE for ALL★ALL for ONE~

野田 恵(さかい薬局グループ 株式会社薬心堂 さかい調剤薬局 事務主任)

薬局内・在宅での業務内容の紹介から、非薬剤師の活用についてお話しいただきました。門前薬局である当薬局でも来局風景が変化してきており、これまで外来業務のみだった業務フローに新たな在宅業務が加わり、様々な業務の効率化と改革に迫られていたとき、「ハザマメソッド」と出会い、現在に至っている。

メディカルパートナーは、薬剤師の役割を知ってサポートすること、薬を渡した後のフォローも行い、チームの一員として患者さんの困りごとを支援することが大切だとお話していただきました。

医療事務の新たな役割の模索~私たちの挑戦~

中村 直子(株式会社市民調剤薬局 医事セクションリーダー)

開業以来、薬剤師と事務が対等な関係を築き相互に協働するものと考え役割分担を行ってきた。2015年にハザマメソッドを見学し、薬剤師と事務が連携し強い責任感を持って業務を行っていることがわかった。在宅を取り入れ、薬局と地域の在り方について再検討し、新たな医療事務の挑戦についてお話していただきました。

グループウェアの活用や、保育園へのアプローチ、個別住宅訪問など地域との関りを作ることに挑戦し、事務の立ち位置を確かなものにすることができたとご講演いただきました。

薬剤師時間確保に向けた調剤事務の効率化

吉野 奈美(有限会社はらから まえはら調剤薬局 統括マネージャー)

地域密着「皆様に寄り添う薬局を目指して」をモットーに、近隣薬局で未だ行われていない在宅訪問に加え、OTC販売やお薬相談などを行っている、3代続く薬局のこれまでの取り組みについてお話していただきました。

平成27年の「自動監査システム」「一包化監査システム」の導入、作業の自動化・効率化・見える化についての取り組みをご報告いただき、インシデントの減少や薬剤師の時間の変化、少しずつではあるが事務の業務効率化が、薬剤師の時間確保を可能にしていると実感されているとのお話でした。今後もマニュアル化、薬剤師の時間確保に向けて努力していくということでご講演いただきました。

薬剤師のベストパートナーであるために ~ハザマ薬局森ノ宮店での取組み~

米澤 未央(ファルメディコ株式会社 ハザマ薬局)

多忙な薬剤師を支えるパートナー業務では、ITを取り入れ、見える化を図るシステムをつくり、薬剤師の指示のもと連携業務を実践している。パートナーがどのように薬剤師をサポートしているのか、2週間の業務工程からお話していただきました。また、どのようなツールを使って業務を行っているのかご紹介いただきました。

パートナーは何ができるのか考えたときに、薬剤師が適切な薬物療法を実施するための環境づくりが重要だということでこれまでの取り組みについてご講演いただきました。

参加者全員・壇上のシンポジスト全員との討論会



参加された事務の方々からは、看護師との連携やパートナー制度導入時のこと、採用時のことなどのご質問をいただきました。
薬剤師の方々からは、検品についてどのように工夫しているのか、情報共有のあり方などのご質問がありました。

赤羽根先生からもコメントをいただき、活発な意見交換が行われました。

クロージングリマークス

パートナー制度の導入の目的とは

狭間 研至(一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)

新しい概念を導入する目的はなにか。これを間違うと、話はあらぬ方向に向かうということは、日常的に私たちがよく経験することである。日本における薬局補助者の役割を考える際にも、このポイントは外さないようにしたいと考えてきた。

私は、我が国が抱える地域医療の問題点の1つは、多剤併用、薬剤性有害事象だと考えてきた。これを解消するためには、調剤を担当した薬剤師が、薬をのんだあとの状態も薬学的にフォローアップし、薬学的知見に基づく指導義務を果たすことが必要であり、これこそが、薬局補助者導入の目的である。ここをはずしてはならない。そのためには、以下の3つがポイントになる。
①薬剤師が調剤した薬剤を服用したあとの患者の状態を把握すること
②これらの状態を薬学的にアセスメントし改善策も含めて医師にフィードバックすること
③薬剤師が対人業務に専念するための時間・体力・気力を温存すること
本会では、2009年より「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」を行ってきたがこれは、①のためのツールを手に入れていただくことが目的である。 また、2011年から始めた「薬局3.0セミナー」や2013年から始めた「認定薬剤師セミナー」で取り上げた内容の多くは、②のための薬学的知識をブラッシュアップしていただくことが目的となっている。 ただ、この2つだけでは、実際の現場で薬剤師の過労を招き、経営効率も一気に悪くなるため、様々な混乱が起こることが明らかになってきた。そこで、生まれたのが、薬局補助者を薬剤師業務をトータルに支えるパートナーと呼び、薬剤師が患者のそばに赴き、薬学的専門性を活かしながら対人業務に取り組むための時間・気力・体力を温存させることである。

2013年ごろよりハザマ薬局で「パートナー制度」を導入し、試行錯誤を繰り返したこれまでの取り組みと、その経験を踏まえ、これらのノウハウを日本在宅薬学会認定パートナー制度として広げていくことで、全国の薬剤師の働き方を変えていきたいという思いをご講義いただきました。

パートナー制度の普及は、薬剤師の対人業務へのシフトを可能にし、その結果として薬物治療の質的向上を図ることが目的である。是非、このポイントを外さずに、「パートナー」という新しい職種の確立と育成を進めていきたい。